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一般的に組織内の論作文は、技術畑ではない方が読み手となります。また、組織の一員としてどう考えるか、という視点が、欠かせないものとなります。従ってその内容が、技術的に詳細な方法論であっては、読み手は論旨を理解できないために、「うんざり」感を持つ事になります。さらにあまりに技術的な文章は、組織全体で何が重要であるかということより、担当する個別の業務という、ごく狭い範囲について述べる事になり、組織人の文章として不的確であると判断されます。
適切な文章とは、技術的な事柄については素人にもわかるように概略だけを示し、それを組織の中でどう実行していくかについて考察したものです。すなわち、技術的な方法を簡潔に提示し、それを実行するために、どう人を動かすかが問題となるのです。
技術的に、これまでとは違うやり方を提示する(そうでなくては意味がありません)のですから、当然その方法論に疑問を持ち、抵抗する上司・同僚・部下がいるはずです。それを等閑視して方法論だけを説いても、実行できない、あるいは実行しても効果が見込めない対策であるに過ぎません。「自分の仕事は技術のみ、どう人を動かすかは関係ない」と考えるのであれば、それは管理職に向いた人材とは言えず、従って組織としても、昇進させる意味がないというわけです。
ですから、人を説得し前向きに取り組んでもらうための具体策、あるいはその説得の材料となる、コストと効果の検証、このような事が、仮に技術畑の組織人であっても、組織内の試験で書くべき内容なのです。
素人にも理解できる自説、その自説の正当性を論証するに十分な、これまた素人に理解できる材料を考え直し、文を全面的に書き改めて下さい。
昇進昇格試験を作成するときにも、一番大事なことは、「所属組織に取って利益となる提案をすること」が先決です。非常事態であれば、部下や自分のリストラや出向が求められることもあるでしょう。
二番目に大事なことは、答案に示した施策を実施することで、解答者が所属組織の中で居場所を得られるようにすること、またできるだけよいポジションを得られるようにすることです。これは、出世することや、好みの部署に異動することです。
技術者として、長年携わってきた技術に愛着と誇りがあったとしても、上記二つを満たせないのであれば、長年携わってきた技術と関わるのをやめる決断がある年齢で迫られることになる場合がほとんどでしょう。技術の進歩は著しいものがあり、花形の技術がいつの間にかそうではない技術になってしまうことがほとんどです。
もちろん、出世を望まず、給料が減っても構わないというのであれば、長年携わってきた技術にしがみつき、現在の状況に甘んじても(いずれリストラ候補になってしまうかもしれませんが)構わないでしょう。あるいは、技術を生かせる他の企業に転職するというのもひとつの方法です。人生の選択肢は複数あります。
このように他の選択肢もあるわけですが、解答者が所属組織の中で出世を望むのであれば、長年携わってきた技術にしがみつき過ぎてはいけません。長年携わってきた技術にしがみつくのであれば、その技術を重視することで、所属組織にどれだけ利益を与えることができるのかを広い視点・経営の視点から説明する技術を磨かなければなりません。所属組織の利益を軽視しており、技術者としての居場所を確保したいことだけが答案からにじみ出てしまっては、昇進候補になることはないのです。
技術に明るい者同士で議論をすれば、「将来の技術開発可能性」については深い議論ができるでしょう。一方で、消費者のニーズについては、技術者が鈍感であることに気をつけなければなりません。恐らく、御社の中で消費者のニーズに詳しいのは、「営業担当者」や「マーケティング担当者」でしょうから、こうした別部門の方との情報交換の頻度を増やすことが、消費者のニーズにあった技術開発・製品開発をする上で今後重要になるのではないかと思います。
この後に添削する別の課題で、「組織の連携」が重要概念になっていますが、管理職として組織を活性化するには、こうした別部門に埋もれている知識(経営資源)を共有化して利用すること、あるいは、異なる知識の融合により「(比喩的な意味での)化学変化」を起こすことも重要になります(→例:技術展望+消費者のニーズ→魅力ある製品の開発)。
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