2016年6月22日星期三

小論文の書き方のコツと800字の例文

http://frytiger.com/archives/6584.html

小論文は文学作品ではありません

小論文とは原稿用紙2枚程度にまとめる試験課題の一つの方法です。
小説や詩歌のような文学作品ではありません。
また、実験レポートや調査の報告書でもありません。
「小」が付いているとはいえ、論文ですから、仮説を立てて自論を展開する形をとらなければなりません。
通常は、100分程度の制限時間が設けられていることが多いので、もたもたしていると時間が足りなくなります。
ここでは、比較的多く見られる出題形式である800字(原稿用紙2枚)を例にして小論文の書き方のコツを説明します。

テーマ選定

小論文では、課題を与えられてその中から自分なりのテーマを選ぶことが必要です。
課題は、単純に項目を示す場合と、課題文章を読ませる形になっている場合とがあります。
例えば、朝日新聞の「天声人語」を読ませて、あなたの意見を書きなさいというような出題です。
課題の中から、論ずべきテーマを選び出すのが最初の作業です。
ここで注意すべき点が二つあります。

テーマに対する結論が常識的に固まっていないこと。

つまり、結論が一方的で議論の余地がないようなテーマでは論文にはなり得ないのです。
例えば、少子高齢化対策として、
「姥捨山思想を復活して高齢者を減らすことの是非について」
などと取り上げても、現在の日本では姥捨山を「是」とする論理が通るはずもなく、仮にあなたが「是」とする結論を導けば 、非常識な思想の持ち主と判断されて不合格になるのが目に見えています。
テーマ選定については、常識的な是非論が6:4か、せめて7:3程度には拮抗していることが条件となります。
例えば、前述の少子高齢化対策については、「高齢者の労働力を活用する」というテーマにすると、高齢者への負担とか、労働力の質の低下などの問題に展開して、その先の是非論は、賛否両論が予想され自論を展開する価値が現れてきます。

壮大なテーマを選ばないこと。

高々100分間で800字の論文ですから、天下国家を論じる壮大なテーマに取り組んでも、読者を説得できるほどの論理展開が出来るはずがありません。
身の丈を知って、制限時間内に論理展開が出来るテーマを選びましょう。

社会性のあるテーマを選ぶこと。

少子高齢化対策に課題に対して、あなたのおじいちゃんの健康問題だけを取り上げても他の人には関心がありあません。
論理展開の一例として取り上げるのは構いませんが、メインのテーマにはなりませんね。

最初に結論を明確にすること

書き始める前に結論を明確にする必要があります。
書きながら考えて結論を導き出そうとすると、論理展開がこじれてしまい、収拾がつかない文章になってしまいます。
理屈はともかく、結論を決めましょう。

テンプレートに当てはめてあらすじを作る。

NHKのEテレで放送されたテンプレートが良くできているので紹介します。
だろうか、たしなよ

だろうか

課題からテーマを選び出して問題提起をする部分です。
「AならばBであると言えるのだろうか
と言う感じです。

たしかに

自論に対する反対意見を取り上げて一定の理解を示すことで、知識の幅を示します。
しかに、AがCに変化してBになる可能性は否定できない」

しかし

「たしかに」で反対意見を示したが、それに対する自論を示す部分です。
かし、AがCに変化する確率は極めて低いのが現実である」

なぜなら

自論の内容を論理的に展開する部分で、小論文の本文になるところです。
ぜなら、自然界においてCの状態で存在し得る条件は極めて稀なので、現実的にCからBへ変換を期待するのは無理がある」

よって私は

最終的に結論を書いて論文をまとめる部分です。
って私は、AならばBであるとは言えないと考える」

分量の比率

文字数は800字の小論文の場合です。
あらすじを作ったら、肉付けをして論文を完成させますが、「だろうか、たしなよ」の文字数の目安を知っておきましょう。
中心となるべき本文は、「なぜなら」の部分になります。
ここには、全体の文字数のおよそ半分のボリュームを注ぎ込みます。
このように、各パーツの文字数の目安を決めておくことは大事なことです。
だろうか・・・10%(80字=2行)
たしかに・・・10%(80字=2行)
しかし・・・・20%(160字=4行)
なぜなら・・・50%(400字=20行)
よって私は・・10%(80字=2行)

天声人語の出題例

下の文章は、2015年12月19日の朝日新聞の天声人語です。
「この文章を読んで、デジタル機器と文字との関わりについてあなたの考えを800字以内で述べなさい」
こんな課題の小論文に対する解答を考えてみましょう。
本来であれば、ここには天声人語の原文が入りますが、新聞記事の転載は著作権侵害になりますので、要約だけを掲載します。
天声人語の要約
文章作成は印字とメールのご時世で、手書きの文字の機会がめっきり減ってしまったが、手書きの手紙はもらってうれしいものだ。
デジタル機器に慣れてしまって頼り過ぎると、思わぬ失敗をすることがある。
古典的な手紙の笑い話で「恋しい恋しい」を「変しい変しい」と間違えたラブレターがあるが、デジタル機器ではありえないだろう。
もうすぐ年賀状の季節だが、年賀状は、いくぶん畏(かしこ)まった字で書いてみたいものだ。
課題文章の要約に多くの文字数を使う人がいますが、それは間違いです。
引用したい部分があれば構いませんが、課題文章を要約してもあなたの論文としての価値には、何の関係もないことですから、貴重な文字数を無駄に要約に使うべきではありません。
そもそも試験監督者は、課題文など暗唱できるほど読んでいるのですから、そこを説明する意味はありません。
小論文の試験では、論文の主旨が判断されるのではないのです。
もちろん、常識から外れた極論を書けば人格を疑われますが、是か非か意見が別れるようなテーマであれば、結論をどちらに導いても採点には関係ないと思ってください。
ここで需要なのは、論理展開がきちんと出来ているかどうかなのです。
そこで論理展開を正しく導くのが、「だろうか、たしなよ」のテンプレートなのです。
では、実際に、小論文を書いてみましょう。

「だろうか」の部分

まず、テーマを決めなければなりません。
「デジタル機器と文字との関わり」という壮大な課題の中から、小論文でまとめられる程度の小さなテーマを探しだすことです。
いろいろ考えられますね。
  • デジタル機器は日本語を破壊するのだろうか
  • 手書きの年賀状はワープロ年賀状より価値があるのだろうか
  • ネット社会が庶民文学を発達させるだろうか
  • デジタル機器が文字の障害を取り払うのだろうか
などなど。
結論を導きやすいテーマとして、こんなテーマを選んでみました。
 ワープロを使えば、文字が下手な小学生でもきれいな文書を作成できるので、あたかも国語力がアップしたように見えるが、小学生にワープロを学習させるべきだろうか
だろうかの導入部分は、80字程度なので、このくらいのボリュームになります。
実際の文字数は、先頭の字下げを含めて78字なので、ほぼ2行いっぱいになります。

「たしかに」の部分

ここでは、自分の主張の反対意見に理解を示して、知識の幅広さを見せるところです。
この論文の結論は、小学生には学校ではワープロ学習を指導すべきではないことにしますので、ここでは、ワープロの指導をすべきだとの意見を書くことになります。
予定している文字数は80字程度なので、こんな感じですね。
 たしかに、小学生にワープロを指導することによって、文字の巧拙に左右されず、文章そのものを教えてプレゼンテーション能力を高めることが出来るメリットはある。
これで、77字です。

「しかし」の部分

ここでは、自分の結論を提示するパートです。
この文字数は、160字の予定なので、少し詳しく書くことが出来ます。
 しかし、小学校の特に低学年におけるプレゼンテーション能力は必ずしも文章にする必要はなく、口頭で意志を表現するトレーニングでも十分に賄えるものである。さらに、正しい文字を書けずに正しい日本語を覚えられるとは思えない。ワープロの早期教育は、正しい日本語学習の妨げになるので小学生では導入すべきではない。
これで150字です。

「なぜなら」の部分

この論文の本文ともいうべき部分です。
原稿用紙1枚分を全部使って、400字で自論を展開します。
 なぜなら、デジタル機器は、漢字書き取り能力を著しく低下させるからである。デジタル機器普及によって連絡手段は電子メールになり、報告書はワープロで提出し、文字を書く機会が少なくなったことで、ビジネスマンでも明らかに漢字の筆記能力が低下してるのは、どなたも自覚しているところであろう。漢字の書き取り教育をしっかりと受けた世代にしてこの有様である。ましてや、漢字書き取り学習を疎かにして、ワープロで文章を書くことを覚えさせてしまったら、まともに漢字が書けない日本人を増やすことになるだろう。
小学生に作文の課題をワープロで提出させるような指導をすれば、彼らはゲーム感覚で夢中になるに違いない。文字の配列がきれいだとか、強調文字や斜体などの文字装飾を多用して文章の内容から関心が離れてしまう可能性もある。こうなっては、日本語教育ではなくあたかもプログラマーの養成である。
382字です。

「よって私は」の部分

最後のまとめとして結論を80字でまとめるところです。
 よって私は、日本語文化を継承するためには、教育漢字程度は自筆で書けるように教育すべきであり、その阻害要因となりうるデジタル機器は導入すべきではないと考える。
これで79字です。
この例文の出来不出来はともかく、「だろうか、たしなよ」のテンプレートの使い方と、文字数の配分は理解していただいたでしょうか。
黄色い枠の文章をつなげると、800字の小論文になります。
ほとんど同じ趣旨のブログ記事がありましたので紹介します。
看護師さんの事例として、「だろうか、たしなよ」の使用例を示しているので、参考になると思います。
さすがは天下のNHKです。
素晴らしいテンプレートを提供してくれましたね。

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