2016年6月22日星期三

小論文必勝サポート

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小論文は大学や短期大学、分野によっては専門学校の入試でも出題される試験課題です。
作文と混同されがちですが、実はまったく違う書き方を求められます。
このコーナーでは、初めて小論文を書く人のために、小論文の構造説明から具体的なテクニックにいたるまで、丁寧にレクチャーしていきます。
1 小論文と作文の違いのポイントを押さえて、 合格できる小論文を書こう!
2【ルール1】小論文のルール
3【ルール2】「序論」「本論」「結論」で書く
4【ルール3】テーマの見つけ方と問題分析
5 書くためのプログラムを作ろう
6「要約文」の要領
7 やっておきたい小論文基本対策
8 小論文を書くための対策




STEP1.小論文と作文の違いのポイントを押さえて合格できる小論文を書こう


これまで小学校や中学校で書いてきた「作文」と、大学・短期大学(・専門学校)入試の「小論文」は何が違うのかと疑問を感じる方が多いと思います。作文は「自己PR文」に近いと言えます。入学試験や入社試験は、合否を判定する採用試験です。試験官に、「ぜひ面接をしてみた い」と思わせるような自己PRにつながる内容で書いてください。一方、小論文は、「説明的文章(=説明文、論説文、論文、レポート)」の仲間です。小論文は与えられた課題に対して自分の答(=意見)を述べ、その意見がなぜ正しいのかを客観的な根拠や理由を挙げて論理的に述べるもの です。「私は~と考える」と答(=意見)を述べ、その理由を「それは~の理由からだ」と筋道を立てて説明します。
では、小論文と作文の特徴を下の表で確認してみましょう。
小論文項目入学試験や入社試験の作文
論説文(説明的文章)の仲間文の分類自己PR文に近いと考えてよい
論理的で、客観性を備える文章の特徴感覚的、情緒的で意欲を訴える
使えない(文章の評価を下げる)表現技巧使えない(文章の評価を下げる)
根拠や理由を示し、主張や意見を書く書く内容自分自身の体験や感想を書く
常体「だ・である」調に統一文体常体「だ・である」調か、敬体「です・ます」調のどちらかに文体統一
三~四段落が望ましい段落構成適切な構成ができていれば段落数に決まりはない(三~四段落が望ましい)
序論・本論・結論段落の機能内容のまとまりにより段落分けをする
この表から小論文と作文では書く内容や書き方のルールに違いがあることが分かりましたね。
では、大学・短期大学(・専門学校)は小論文から受験生のどのようなことを知ろうとしているかを考えてみましょう。それこそが、評価の高い小論文を書くポイントとなります。ここでは、重要視される3つのポイントを説明しましょう。
大学・短大が入試の「小論文」で見ている3つのポイント
  • (1)自ら研究テーマを見つけ、それを調査・分析し自分で考えているか
  • (2)論理的に考え、表現できているか
  • (3)自分が行きたい学部・学科の学問についてよく考えているか
とこのような受験生を見つけ出すために小論文試験を課します。

【1】自ら研究テーマを見つけ、それを調査・分析し自分で考えていける人

大学・短期大学(・専門学校)とは、「教えてもらう」受動的な勉強だけではなく、「自分でテーマを見つけ、それを研究していく」ところなのです。そのためには、教科書に書いてあるような事柄でも」本当にそうか?」と疑問をもち、自分から進んで「これはなぜ起こるのだろうか?」、「この問題の背景にあるのは何であろうか?」、「どうすればこの問題を解決できるのだろうか?」というように、学問のテーマを見つけなければいけません。大学・短期大学(・専門学校)は、まさにこのような「自ら学問のテーマを見つけることが出来る学生」を発掘するために小論文を課すのです。
たとえば、「駅のホームから線路を見下ろすと、さまざまなごみが落ちています。このような状況についてあなたの考えを述べなさい」という課題が出されたらどう対応すればよいでしょうか。「マナーやモラルの低下」を批判するだけでは、評価の高い小論文とは言えません。では、どのように対応すればよいのでしょうか?
まず、自宅やその周辺など身近なところを取り上げ、そこから視野を広げて比較・分析していきます。ここでは、「線路周辺の清潔さを保つためにはどうしたらよいか」という視点で考えていくことにしましょう。この課題に対して疑問を投げかけていき、それに答え、その答えにまた次の疑問を投げかけてみるのです。
・なぜ駅でごみが捨てられているのか
→駅以外では捨てられているのをあまり見ない
→駅で捨ててしまう心理とは何か?
→環境に問題があるのか?
・なぜごみ箱ではなく、線路上に捨ててしまうのか
・清掃員を増やしたらどうか
・ホームドアがある駅とない駅では違いがあるのか
→ホームドアの有無が関連しているかもしれない
・ホームにリサイクル用の回収BOX を置くのはどうか →ごみ箱ではなく、リサイクルBOX がある場合の効果は?
→スーパーマーケットなどでの回収状況から効果を立証できるかもしれない
そして、「線路周辺の清潔さを保つためには○○するのがよい」と結論を出します。
考えを述べるときには、主観的にならず客観的な根拠を示して説得力のある文章を作りましょう。本に書いてあること、マスコミが言っていること、周りが言っていることなどを当たり前のこととして飲み込んでしまわず、少しでも疑問に思ったことを、「本当にそうなのかな?」と考えてみることが、その出発点です。したがって、周りで言われていることをそのまま書くのではなく、「自分の意見」を「自分の言葉」で述べている小論文の答案は高く評価されます。

【2】論理的に考え、表現できる人

大学・短期大学(・専門学校)での学問は、前記1で説明したとおり、「自分でテーマを見つけ、自分で考える」ことなのです。そうすると、その結果を「他の人を説得できるように発表する」ことも必要となります。多くの場合、それは「論文」という文章表現で行われます。
自分が新たに研究し考えた結果を、読み手に「なるほど」とわかってもらわなければなりません。そのためには、できるだけわかりやすくテーマを説明し、なぜそう考えるのか順を追って論じます。さらに、証拠として具体的な実例やデータを並べて、しっかりと結論を打ち出すことが必要です。つまり「論理的に考え、表現すること」が、学問を行う上で重要な方法となるわけです。したがって、 読み手にとってわかりやすく、論理的に表現されている答案が高い評価を受けることとなります。

【3】自分が行きたい学部の学問についてよく考えている人

看護学部を志望しているのに、それほど医療に興味がないという人がいたとしたら、大学・短期大学(・専門学校)はその人に入学して欲しいと思うでしょうか。やはり、その学部の学問に興味を持ち、自分なりの考えを持っている人に、入学して欲しいと考えるのは当然ですね。したがって、志望学部・学科の学問への興味や知識を持っていると感じられる答案は高く評価されます。大学・短期大学(・専門学校)もこの要素を見るために学部ごとに特徴ある問題を出題してきます。
小論文の採点基準
大学や短期大学、専門学校では、入試での小論文をどのように「評価」しているのでしょうか。
入試での小論文がどのように評価されているのか、採点基準について覗いてみましょう。
小論文の採点基準



STEP2.【ルール1】小論文のルール

【1】小論文を書くルール

1.タイトル、学校名、受験番号や氏名を書く欄がある場合は、欄の中に正確に書きます。
書く欄がない場合は、次の要領で書きます。
【題名】
1行目の行頭から3 マス空け、4マス目から書く。
【受験番号と氏名】
2行目に受験番号と氏名を書く。受験番号を書き、1マス空けて氏名を書く(姓と名の間も1マス空ける)。名前の後ろが2マス空くように書く。
【本文】
書き出しは1 マス空ける。段落を変えるときは改行し、1マス空ける。
在籍(出身)高校名は必ず正式名称で書いてください。公立高校の場合は「△□(都・府・県・市)立○○高等学校」と書きます。ただし、北海道・宮城県・長野県の公立高校の場合は「(北海道・宮城県・長野県)○○高等学校」と書きます。私立高校の場合は「△□(都・道・府・県)私立○○高等学校」となります。
※文字数の指示がある場合、タイトル・受験番号・在籍(出身)高等学校・氏名は文字数に数えません。
2.出題パターン別の書くべき文字数は下記のとおりです。
出題の仕方書くべき理想の文字数
①○○字以内要求文字数-40字以内(市販の原稿用紙(1行20字)で最後の2行)
②○○字程度要求文字数±40字の範囲内(市販の原稿用紙(1行20字)で要求字数± 2行)
③○○字~△△字要求文字数の範囲内
大学等が要求する出題文字数パターンは上表のような3つのタイプがあります。中でも①型の「○○字以内」という出題の仕方が一般的です。目安となる文字数は、専門学校で400字以内、短期大学で600~800 字以内、私立4年制大学で800~1200字以内、国公立4年制大学で800~1500字以内です。基本的には要求文字数-40字(市販の原稿用紙(1行20字)で最後の2行)以内に入るように書いてください。2行を越えての空白行(⇒ 20字×2行=40字)があると減点対象となります。
※要求字数に対して大幅に字数が不足している場合、もしくは字数オーバーは採点対象外になる場合があります。
3.制限時間を、必ず守ってください。制限時間は専門学校で30~40分程度、短期大学で40~60分程度、私立の4年制大学で50~90 分程度、国公立の4年制大学で60~120 分程度が一般的です。書き上げていない状態で提出すると「未完成」の判定となり、大幅な減点となります。
4.三~四段落で構成します。後述のステップ3の~ルールその2~にもあるように、各段落はそれぞれの役割が決まっています。それ以外の段落分けを行うと採点者は分けた理由や根拠を探ってきます。段落の分け方が適切でないと減点される可能性があります。
5.小論文は、詩歌や小説ではなく、論説文(説明文の仲間)です。従って、詩歌や小説に用いられる倒置、体言(名詞)止め、比喩表現、会話体などの文学的表現を使ってはなりません。
※設問または課題文中に使われている言葉を引用するために「 」を使うのはよいのですが、基本的に小論文で人の言葉を「 」で引用することは誤りです。英語で言うところの間接話法形式で書いてください。
例:私たちは「またいつか会おう」と約束した。 → 私たちは再会の約束をした。
6.書き出しは一字下げ、段落変えの時は必ず改行一字下げを行なってください。改行によって生じた空白のマス目も字数として数えます。
※段落変えでないところでは、改行してはいけません。
7.一つの段落は最低二文以上で構成します。段落とは、文章(複数の文が集まったもの)を内容によって分けたひとまとまりの部分のことです。よって、段落を構成するには最低二文以上が必要となります。
【言葉の単位】
段落 > 文章 > 文 > 文節 > 単語
8.200字以内の要約問題は、段落構成を行ないません。その場合、書き出しの一字下げも必要ありません。ただし、要約問題でも200字を超えると段落構成をすることになります。
9.促音「っ」と拗音「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」「ゃ」「ゅ」「ょ」も、一マスに一文字を書きます。これらの文字は行頭に置くことができます。
例
10.句読点「、」「。」、かっこ「()」、かぎかっこ「「」」などは、それぞれを一字として数えます。
ただし、行頭に句読点「、」「。」、閉じかっこ「)」や閉じかぎ「」」を置いてはなりません。行頭に来る場合は、前行末のマスの文字と一緒に書きます。
また、『』(二重かぎかっこ)の使用は原則として、本のタイトル、グラフや図表のタイトルの引用を行うときにのみ使用します。句読点とかぎかっこは1マスに1文字として書きます。
句読点は、縦書き原稿用紙では「マス目の右上」に、横書き原稿用紙では「マス目の左下」に正確に打ちます。
例
11.課題文を引用する際、句点「。」と閉じかっこ「)」、または閉じかぎ「」」、を用いる場合は、<例①>のように一つのマスの中に一緒に書きます。
もしくは、<例②>のように句点は省略します。
ただし、全体で統一して書いてください。混用してはなりません。
例
12.くりかえし符号の「々」も行頭に置いてはいけません。例えば「人々」の「々」が行頭に来る場合は、「々」は「人」か「びと」と書いてください。また、「々」はマス目の中央に書きます。
例
13.要求された文字数の最後のマス目で、文字と句点「。」を一緒に入れてはいけません。字数オーバーとみなされてしまいます。その場合は、表現を考え直して最後のマス目に文字と句点、または句点と閉じかぎなどが同時に入らないようにしてください。
14.「!」「?」「・」「"」「~」「・・・」などの記号類は基本的に使ってはいけません。
15.一文は2~3行(40~60字程度)に収め、長くなり過ぎないようにしてください。長くなると文意が途中で変わってしまう危険性があります。
例
16.小論文で「~と思う」という表現の多用は避けましょう。自信のなさそうな文章になり、読み手に曖昧な印象を与えるからです。自分の主張や意見を述べるときは「~と考える」や「~だ・である」と断定しましょう。

【2】言葉の選び方

1.呼称の使い方に注意しましょう。一人称は「私」に統一します。「自分」や「僕」は用いません。身内の呼称にも注意しましょう。「父」「母」「祖父」「祖母」「兄」「姉」「伯父(父母の兄)」「叔父(父母の弟)」「伯母(父母の姉)」「叔母(父母の妹)」といった表現を用います。
また、身内以外の人について書く際にも注意が必要です。「おじいちゃん」「おばあちゃん」「おじさん」「おばさん」等は口語表現となるため使用しません。
×「おじいちゃん」「おばあちゃん」 → ○「高齢者」「老人」
×「おじさん」「おばさん」 → 原則として使用を避けます。「知人」など、より一般的な表現を用いましょう。
2.漢字や送り仮名の誤り、漢字で書くべき文字のひらがな表記は減点対象となります。
3.文体は常体(「だ・である」調)を使います。敬体(「です・ます」調)を使用してはいけません。
4.書き言葉(=文語体)を使ってください。話し言葉(=口語体)を使ってはいけません。
例
5.省略表現や略語を使ってはいけません。公的機関名や条約名を用いる際は注意が必要です。ただし、問題文の中に使用されている表記であれば、そのまま使用して問題ありません。その場合、表記を統一させましょう。
例
6.カタカナ語は、外来語の日本語表現がない場合に用いるのが基本です。適切な日本語表現がある場合にカタカナ語を用いることは、文章の質を低めることになるので、原則的に避けてください。
ただし、問題文の中に使用されている表記であれば、そのまま使用して構いません。その場合、表記を統一させましょう。
例
7.オノマトペ(擬声語、擬態語、擬音語、擬情語)は使ってはいけません。
例
8.流行語・新語・造語・若者語は厳禁です!
ただし、問題文の中に使用されている表記であれば、そのまま使用して問題ありません。
その場合、表記を統一させましょう。
×「イクメン」「ガラケー」「キラキラ(DQN)ネーム」「草食(系)男子」「プロフ」
9.商標名は原則使わないようにしましょう。
例
10.敬称は不要です。
例
11.近接同語は避けてください!
同じ言葉を繰り返して使用すると、表現力不足とみなされてしまいます。例文では「タバコ」「ある」「悪影響」といった言葉が同じ段落の中に繰り返し登場します。修正後の文章のように、他の語に置き換えるなどして表現を工夫しましょう。
例
12.重複表現は使わないようにしましょう。
<例>
×「その問題はいまだに未解決である」 → ○「その問題は未解決である」
×「日本に来日した外国人は~」 → ○「来日した外国人は~」
×「習い事で書道を習っている」 → ○「書道を習っている」
13.楷書で丁寧に書いてください。略字や続け字は厳禁です。
採点者は合格発表までの限られた時間内に採点をやり終えなければなりません。字が楷書で丁寧に書かれていないと、採点者に読み間違えられる危険性があります。楷書で丁寧に書いてください。
例

縦書き原稿用紙

1.数字は、必ず漢数字を使ってください。縦書きの場合、算用数字を使ってはいけません。「一九九九年」、「二〇一三年」は、「千九百九十九年」や「二千十三年」と書いてもよいです。しかし、あるところでは「一九九九年」と書き、一方では、「千九百九十九年」と書くような混用した書き方をしてはなりません。どちらかに統一して書いてください。問題文や資料読解型の本文中にあるアラビア数字も漢数字に直して書きます。
2.アルファベット文字は基本的には使わずに表現しましょう。ただし、アルファベット文字を用いないと表現できない語句はアルファベットで書いてもよいです。その場合は、そのまま縦書きにします。
例

横書き原稿用紙

1.原稿用紙が横書き用の場合、算用数字を用いることも可能です。もちろん、漢数字で書いても構いません。算用数字とアルファベットの小文字は半角(1マスに2文字)扱いで、アルファベットの大文字は全角(1マスに1文字)扱いで書きます。
例
必ず「鉛筆」を使って書いてください。
鉛筆の濃さはHB、またはそれより濃い鉛筆を使ってください。
字が薄いと内容以前に印象が悪くなります。薄くて見えにくい答案は、書いてあることを読めない場合もあります。せっかく内容がよく書けていても採点対象外にされることもあります。文字が小さすぎて読みづらい場合も同様です。小論文を書くとき、シャープペンシルで書くと筆圧が弱く、書いた文字が薄くなりがちです。シャープペンシルではなく、鉛筆を使うようにしてください。

STEP3.【ルール2】「序論」「本論」「結論」で書く

小論文は三~四段落での構成が望ましく、それぞれの段落には役割があります。
下の表で確認しましょう。
<三段落構成の場合>
「序論」「本論」「結論」をそれぞれ一段落ずつ、全体を三段落で書く方が構成しやすいとされています。まずは三段落構成をしっかりと覚えましょう。
第1段落序論
(問題提起・仮説提示)
問題提起し、それに対する主張や考えの方向性を示す(トピックセンテンス※)。(字数配分:10~15%)
第2段落本論
(理由説明・証明)
問題提起に対する主張の根拠を、調査や分析をして分かった事実をもとに述べていく。そして自分の主張の正しさを客観的に証明する。(字数配分65%~ 80%)
第3段落結論
(まとめ)
第2段落での証明や理由付けをもとにして自分の主張(意見)を明確に述べる。(字数配分:15~20%)
<四段落構成の場合>
四段落で書く場合、下記のように本論を2つに分けます。
第1段落序論
(問題提起)
設問に対して、自分なりの問題提起をする。
(字数配分:10%)
第2段落本論
(意見提示)
提起した問題に対して、その現状を正しく把握した上で自分の考えや意見の方向性を示す。(字数配分:30~40%)
第3段落本論
(展開)
第2 段落での主張(意見)を証明するための根拠や実例を挙げ、自分の主張の正しさを客観的に証明していく。(字数配分:40~50%)
第4段落結論
(まとめ)
第2 段落・第3 段落を踏まえて、自分の主張(意見)を明確に述べる。(字数配分:10%)
トピックセンテンス
「トピックセンテンスとは」、小論文を書くための「問」とそれに対する「答の方向性」を自分の言葉で書き表したものを指します。出題タイプによって次のように整理できます。
「課題テーマ型」その語句を自分なりの表現で定義したもの
「課題文型」要約を行い、筆者の主張に対する賛成、反対を示す文を自分の言葉(単に賛成、反対を述べるのではなく)でアレンジしたもの
「グラフ、図表等の資料型」グラフや図表の中から目立つところを探し、それを自分の言葉で書いたもの
「絵、写真等のビジュアル型」その絵や写真の中から印象深く響くものを取り出し、それを自分の言葉 で言い表したもの
例えば、「現代の日本人は他者との関係が希薄になっている、と筆者は述べている。しかし、東日本大震災後、「絆」という言葉が見直され、日本人が忘れかけている日本古来の文化や精神を見つめ直す転機であると、私は考える。」という文章では、波線部の内容は、問いに対する考えを自分の言葉で書いています。これがトピックセンテンスです。避けるべき記載例として、「現代の日本人は、他者との関係が希薄になっている、と筆者は述べている。私は筆者の考えに賛成(または反対)である。」があります。これは、筆者の言葉を利用したにすぎず、トピックセンテンスとはなりません。

STEP4.【ルール3】テーマの見つけ方と問題分析

【1】単語一語の提示

その単語の一般的な用法を踏まえ、単語の「定義」や「理想像」を自分なりの表現で書きます。漠然とした印象にならないように、具体的に述べましょう。
<例>
「幸福」について、あなたの考えを述べよ。
記載例⇒心配や不安をまったく感じないことが「幸福」である。

【2】単語二語の提示

与えられた二つの単語が対立関係にあるものが多く出題されます。この場合、両者が共存する道を探します。どちらか一方の主張ばかりを述べると、視野が狭いと見なされ評価が下がる可能性があります。
<例>
「自由と責任」について、あなたの考えを述べなさい。
記載例⇒責任をもつから自由だと言える。
避けるべき記載例⇒自由であれば責任をとる必要はない。

【3】疑問文の提示

設問自体が解答を求めてきています。「賛成」か「反対」かを明確に答えましょう。状況によって賛成か反対か立場が変わるような書き方は避けます。賛成か反対かを最初に決めたら、途中でぶれずに最後まで自分の考えを貫くことが大切です。
<例>
「子どもにとって塾は必要か」について、あなたの考えを述べなさい。
記載例⇒子どもにとって塾は必要である。
避けるべき記載例⇒学校があるのだから不要だと思うが、受験を考えると必要である。
賛成か反対かを最初に決めたら、途中でぶれずに最後まで自分の考えを貫くことが大切です。

【4】課題文やグラフ、図表、絵、イラストなどの提示

文章が与えられている場合は、筆者が最も主張したい部分を見極めます。課題文がある場合は、筆者の主張を要約したものを示し、それに対するあなたの意見(賛成・反対)を明確に述べましょう。図表やグラフの場合は、顕著な差があるところを探し、その特徴を自分の言葉で表します。変化が続く場合は、変化がない点に注目し、それを簡潔に述べます。そして、それがなぜ起こったかを考えて自分の意見をまとめます。
求められていることは文章や図表を読み取る能力と、そこから問題解決へと導く力です。課題文やグラフを見た感想文で終わることのないように気をつけましょう。
【チェック1】「なぜその問題が取りあげられたか」を、考えてください。
学校側には「出題した意図・理由」があります。的外れな小論文を書かないために、それを踏まえて書くことが重要です。
【チェック2】志望学部の専門家になったつもりで考えてください。
志望学部への適性を検査することも兼ねているからです。
同じ設問でも受験する学部により求められる内容が違います。
<例>「携帯電話」について、あなたの考えを述べなさい。
このような設問は、特に文系、理工系という特定の系統学部で出題されるとは限りません。携帯電話はこの20 年ほどで瞬く間に普及し、誰もが持ち歩くものになりました。しかし、同じ「携帯電話についてあなたの考えを述べなさい」と問われた場合でも、自分の希望する学部での学びに関連づけて考えるようにしてください。
次に3つの系統分野で、どのような観点から書けば良いか例を示します。
  • 【 1 】文系学部志望者
    携帯電話の利用によって、私たち人間生活の中のコミュニケーションが、従来とどのように変化してきたかなどを挙げるとよいでしょう。
  • 【 2 】理工系学部志望者
    新しい機能の開発、より高度な技術や利便性の拡大、機体の小型化や軽量化といった、技術面を論じるとよいでしょう。
  • 【 3 】看護医療系学部志望者
    電車やバスなどの公共交通機関の優先席や病院内では、一般的には携帯電話の使用が禁じられています。しかし、医療従事者として、携帯電話を役立てる利用法はないかと考えてみるとよいでしょう。
このように、それぞれの専門家になったつもりで、自分の志望する学部の学びに関連づけて問題を考えてみます。論文は専門家や学者が、自分が研究してきた成果を発表する場です。したがって、これから大学や短期大学、専門学校で勉強をしようと思っている受験生にも、専門家になったつもりで意見を書くように求められているのです。

STEP5.書くためのプログラムを作ろう

これまで、小論文を書く際のルールや考え方について説明してきました。ここでは実際に小論文を作成する手順について説明していきます。試験会場での流れとポイントを実作例に当てはめて見ていきましょう。
<制限時間60 分/制限字数800 字の場合>
時間配分試験での流れポイント実作例
10~15分1)問題用紙配布
2)合図
心を落ち着かせる。
3)問題を見る。出題4パターンのどれかを判断する。課題をしっかりと読み込み、何を問われているのか十分に理解する。「日本語の乱れについて600 字以内であなたの意見を述べなさい」→テーマ型
4)自分の意見を決め、トピックセンテンスに言い換える。自分の主張を明確にし、トピックセンテンスに凝縮させる。自分の意思を的確に相手に伝えるためには、言葉の正確な意味と用法を理解して使用することが大切である。
5)トピックセンテンスから連想できることを考える。多角的な視点で挙げる。「定義」「例」「経験や体験」「証明するための理由や根拠」「乱れ」とは異なる使われ方をすること。テレビ番組やマンガの影響が大きい。報道番組でも異なった日本語の使われ方を耳にする。無意識に使ってしまう。コミュニケーションに弊害が出る。本来の意味を理解することが大切だ。
①序論・②本論・③結論の3つのまとまりをつくり、字数配分も考える。①問題提起、②理由説明、③まとめで構成する。全体の流れを整理して、筋道が通っていることを確認する。①「 序論」日本語の乱れとは本来の意味とは異なる使い方をすることである。よって言葉の正確な意味と用法を理解して使用することが大切だ。
②「 本論」無意識に誤った言葉遣いをすることはコミュニケーションをとる上で弊害となるため、言葉の正しい意味と用法を理解しておくことは必要である。
③「 結論」相手を問わず的確に意思の疎通ができるよう、日本語が持つ本来の意味を十分に理解して適切な言葉遣いをすることが大切だ。
40分書き始める。丁寧に楷書で書く。
5~10分見直しをする。漢字の誤り、分かりづらい表現、読みにくい字、文字数などをチェックする。
完成・提出

小論文作例
小論文作例

STEP6.「要約文」の要領


要約のポイント
初めから、一気に全体を要約しようとしてはいけません。
要約の手順
要約作業では、段落ごとに内容をつかむようにしましょう。初めは難しいかもしれませんが、練習を重ねることで上達していきます。その段落が全体の中でどのような意味を持っているのか(①問題提起か、②例を挙げているのか、③意見なのか)を考えて、読みながらその区別をしていくのです。そうしていかないと読み取りに膨大な時間を必要とし、制限時間内で終わらなくなってしまいます。要約の作業を早くできるようにするポイントです。
  • 【1】段落ごとに要点をまとめます。
  • 【2】まとめた文について、それぞれ「問題提起」「具体例」「筆者の意見」かを区別し、具体例の部分は除きます。
  • 【3】意見の部分を取り出します。
  • 【4】全体の流れに沿って意見の部分をつなぎ、言い換えなどをして制限字数におさまるように圧縮します。

STEP7.やっておきたい小論文基本対策

【1】志望校の過去問題を研究しましょう

  • 【1】テーマ設定型、疑問文型、長文・グラフ・図表提示型のどのタイプですか。
  • 【2】制限字数や制限時間はどれくらいですか。
  • 【3】出題傾向にどのような特徴がありますか。
  • 【4】過去に他の学校、他の学部や学科・コースで出題されていませんか。

【2】近年のニュースや事件をチェックしておきましょう

特にテーマ設定型の小論文を課題にする学校では、近年マスコミなどが大きく取り上げたニュースをはじめ、政治・経済・労働・外交・社会・自然災害・環境・医学・福祉・スポーツなどに関連した話題や、現代社会を動かしたニュースや事件がテーマとなることもあります。
(小論文キーワードはステップ8参照)

【3】14年度入学者用入試学部系統別問題分析

2014 年度入学者用入試の小論文で取り上げられたテーマには、次のようなものがありました。多くは、各学部や学科での学問と密接に結びついています。しかし、中には一見すると分野との関わりが少なそうなテーマも出ています。ただし、小論文は自分の志望学部での学問と自分自身のつながりを見つけ、それを切実に語る文章です。自分の志望する学部系統では、あなた自身の「志望学部の学問への興味や知識」がどういう切り口から試されるのか、出題されたテーマの一覧で確認してみましょう。
http://www.sanpou-s.net/useful/essay/pdf/7.pdf
http://www.sanpou-s.net/useful/essay/pdf/7_2.pdf

STEP9.小論文を書くための対策

①自分の考えのもとになる知識を積極的に吸収しておきましょう。
多読は書くことへの入り口です。読解力を身に付けましょう。
たとえば、
  • 1)テレビのニュース番組やニュース解説を見る
  • 2)「新聞の社説」及び「コラム」欄
  • 3)「imidas SPECIAL」や「現代用語の基礎知識」、ウェブ版の「知恵蔵」を読むようにしてください。
    「Weblio」などの記事も参考になります。
    ※「Wikipedia」は情報の出典が明らかでない場合があります。
②問題を見てから書き始めるまでの、考えのまとめ方をマスターしましょう。
③実際に書く時の具体的なノウハウやテクニックをマスターしましょう。
特に、上記項目②の考えのまとめ方がポイントになると言えます。
④次の「小論文キーワード」を『知恵蔵』や『現代用語の基礎知識』などを使って調べてみましょう。
小論文キーワード
日頃から新聞やニュースをチェックしておくことが大切です。併せて、自分の考えや意見をまとめておくようにします。
【社会】
  1. 超高齢社会に突入した日本
  2. 日本の人口減少・少子化対策
  3. 日本のグローバル人材育成
  4. 2020 年東京五輪開催決定
  5. 「富岡製糸場・絹産業遺産群」の世界遺産登録
  6. 「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」の無形文化遺産登録:伝統文化の継承
  7. 2015年北陸新幹線開業:観光を始めとする経済への影響
  8. 危険ドラッグの氾濫
  9. 食品異物混入問題
  10. ベネッセ顧客情報流出事故:個人情報の管理
  11. 袴田事件の再審開始決定:冤罪、死刑制度
  12. 自然災害への対応:御嶽山・桜島の噴火、広島県土砂災害
  13. 普天間基地移設問題
  14. 原子力発電所再稼働の是非
  15. 生活保護費の増加と不正受給問題
【政治】
  1. アベノミクス
  2. 消費税10%への増税延期
  3. 集団的自衛権の憲法解釈変更
  4. 若者の投票率低下
  5. 改正国民投票法の成立
  6. 政務活動費:政治とカネの問題
  7. 日中関係と日韓関係:領土問題
  8. セクハラやじ:ジェンダー
  9. 女性の社会進出について
  10. 新エネルギー基本計画の閣議決定:原発稼働の是非
【経済】
  1. 消費税増税による影響
  2. 雇用問題(準正社員・派遣社員・契約社員)
  3. TPP 参加による影響
  4. デフレーションとインフレーション
  5. 異次元金融緩和策
  6. 日本の観光立国推進
  7. 失業率と有効求人倍率の改善
【国際】
  1. ノーベル平和賞 史上最年少受賞
  2. エボラ出血熱/デング熱の感染拡大
  3. ISIL の脅威
  4. フランス新聞社襲撃事件:表現の自由
  5. アメリカとキューバの国交正常化
  6. ヘイトスピーチ:人種問題
  7. 韓国船セウォル号沈没
  8. 「 尖閣諸島」「竹島」の領有権問題
  9. ロシアのクリミア編入
【教育】
  1. 小学校における英語教育
  2. いじめに対する取り組み
  3. 凶悪事件の低年齢化
  4. 児童虐待問題
  5. 子どもを守る取り組み
  6. 体罰の問題
  7. 中高生のスマートフォン・インターネット依存
【環境・科学】
  1. 地球温暖化問題
  2. 国連気候サミットの開催:地球環境問題
  3. 絶滅危惧種の保護
  4. 化石燃料に代わるクリーンエネルギー
  5. 熊本県阿蘇地域の世界ジオパーク認定
  6. PM2.5 による影響
  7. ソーシャルメディアの発達とその弊害
  8. 電気自動車・水素自動車の普及
  9. スマートグリッド
  10. はやぶさ2 の打ち上げ
  11. 南海トラフ地震予測:自然災害への対策
  12. 開発途上国の食糧不足
  13. 日本人3 名がノーベル物理学賞を受賞:青色発光ダイオード(LED)
【医療・福祉】
  1. iPS 細胞の活用(再生医学・再生医療)
  2. 脳死判定
  3. 臓器移植
  4. QOL(Quality of Life)
  5. 尊厳死の是非
  6. 終末期医療
  7. チーム医療
  8. 医療事故
  9. 障害者自立支援法から障害者総合支援法へ
  10. 生活保護制度
  11. 超高齢社会の介護問題
  12. 介護報酬の減額
  13. 出生前診断・新出生前診断

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